文末表現は、文章の末尾にくる言葉(表現)のことです。
Webライティングで使われる文末表現には、以下の2種類があります。
- 敬体(です・ます調)
- 常体(だ・である調)
なかでも圧倒的に多いのが敬体(です・ます調)を用いた記事です。
記事を書くときに混同しないようにしましょう。
NG例:今日はディズニーランドに行きます。楽しみだけど、長時間並ぶのが嫌だ。
OK例:今日はディズニーランドに行きます。楽しみだけど、長時間並ぶのが嫌です。
文末表現によって、読者に与える印象が変わります。
敬体(です・ます調)で文章を書くときのポイントを紹介するので、適切に使えるように練習してみましょう。
主な文末表現の種類
断定 | です ます します |
---|---|
過去 | でした ました |
推測 | でしょう かもしれません |
疑問 | でしょうか |
否定 | ません |
提案 | ましょう |
指示 | ください |
確認 | ですね ますね |
細かく分けるとさらに多くの種類がありますが、よく使う文末表現は上記のとおりです。
Webライティングでは、名詞や代名詞、数詞で文章を終わりにする「体言止め」を使うこともあります。
メディアによっては体言止めや口語(ですね、ますね)、指示(ください)の使用を禁止しているケースもあるため、レギュレーションを守って執筆しましょう。
文末表現を使いこなすコツ
文末表現を変えるだけで、記事の印象がグッと変わります。
読者の感情を動かせるように、意識して文末を変えてみましょう。
1:同じ文末が続かないようにする
Webライターとして執筆する場合によくあるのが、「同じ文末が3回以上続くのはNG」というルールです。
以下のNG例では、「です」を3回連続させています。何だか稚拙な印象を受けるのではないでしょうか?
NG例
副業を始めたい方にWebライターをおすすめします。Webライターなら、自分のペースで仕事ができます。仕事をした分だけ収入を増やせます。
文章としても少し読みにくく、内容が頭に入ってきません。こんな調子で文章が続いたら、途中で読むのをやめる人が続出するでしょう。
文末が連続しないように文章を修正すると、以下のようになります。
OK例
副業を始めたい方にWebライターはおすすめです。Webライターなら、自分のペースで仕事ができます。仕事をした分だけ収入を増やせるのが魅力です。
「ます」が連続していたNG例よりも、読みやすくなりましたね。
連続させないコツは、2回連続も極力NGにすること。
「2回までならOK」を当たり前にしている方は、無意識に3連続になっている傾向があります。編集をしていてよくある修正ポイントです。
ちなみに私は、自分の中で以下のようにルール化しています。
- 同じ文末表現の2連続はNG
- どうしても避けられない場合のみOK
Webライターとして受けた仕事のなかには、同じ文末表現の連続を100%NGとしているクライアントもいました。そのおかげで考え方が変わり、文章力が強化されたと感じています。
正直、2連続NGって結構大変なんですよね……。
文末表現が連続しないように意識していると、言葉のバリエーションがかなり増えます。ほかの言葉に言い換えたり、文章を入れ替えたりするスキルが身につくのもメリットです。
最初は大変だし、いつも以上に執筆時間がかかるかもしれません。
でも、ビックリするくらい文章の質が変わるので、ぜひ試してみてほしいです。
私が教えているライターさんには、極力「2連続NG」で執筆してもらっています。1か月継続しただけで、文章の質がかなり変わりました。
2:「です」「ます」ばかり使わない
Webライティングに慣れていない初心者は、「です」「ます」ばかりの文章になりがちです。
「です」「ます」ばかりだと文章のリズムが単調になり、読者の感情が動きません。それどころか、読む価値を感じなくなり、離脱する可能性があります。
読者の感情を動かせるように、文末表現のバリエーションを増やすことが大切です。自然に使い分けられるように練習しましょう。
「1:同じ文末が続かないようにする」で載せたOK例が、まさに「です」「ます」のみになっている文章です。
例
副業を始めたい方にWebライターはおすすめです。Webライターなら、自分のペースで仕事ができます。仕事をした分だけ収入を増やせるのが魅力です。
内容としてはおかしくないし、文章もスーッと読めます。
しかし、この調子で「です」「ます」がずっと続けば、単調で説明的な、堅苦しい文章になるでしょう。
「です」「ます」以外の文末表現をプラスして、ブラッシュアップした文章が以下です。
例
副業を考えているなら、Webライターを始めてみましょう。Webライターは、自分のペースで仕事量を調整できるのが魅力です。仕事をした分だけ稼げるため、本業に近い収入を得る人もいます。
「みましょう」という提案を入れることによって、読者は自分に言われている言葉だと感じやすくなります。
さらに、具体的な事例を入れ、より感情が動くようにしました。
Webライターとして執筆する場合、発信者はメディアを運営するクライアントです。
クライアントは以下のようなさまざまな目的があって、Webコンテンツの制作を依頼しています。
- 商品やサービスの購入につなげたい
- 資料をダウンロードしてほしい
- 公式LINEに登録してほしい
- 認知拡大につなげたい など
つまり、Webライターはメディアを運営するクライアントになりきって執筆しなければなりません。
「読者に行動してもらわなければ目的を達成できない」ということを、忘れてはいけないのです。
文末表現のバリエーションが増えれば、提案や問いかけを行い、会話に近い自然な文章が書けるようになります。
Webライティング初心者から抜け出す第一歩なので、さまざまな文末表現を使う練習をしてみましょう。
3:あいまいな表現でぼかしすぎない
文末表現のバリエーションを増やすことは大切ですが、「でしょう」「かもしれません」といったあいまいな表現を多用するのはNGです。
読者は結論が知りたくて記事を読んでいるのに、あいまいな言葉で濁されたらどうしていいかわからないですよね。
実は、あいまいな表現の多用は、編集時に意外と多い修正です。
まずはNG例をご覧ください。「これって本当にやってもいいの?」と感じるのではないでしょうか?
NG例
エラーを消すためには、端末の再起動を行うと良いかもしれません。
「100%改善できる」と言い切れないのはわかりますが、これだと「よし、試してみよう!」という気持ちにはなりにくいですよね。
この場合、読者が前向きに感じられる伝え方にしましょう。
OK例
端末の再起動を行うと、エラーが消える可能性があります。
「エラーが消える可能性がある」と表現すれば、断言できないことでも前向きに伝えられます。
もう1つ多い修正は、見出しに対する答えをハッキリ述べていないケースです。
NG例
H3:副業で月10万円稼ぐのは難しくない
Webライターの副業で、月10万円稼ぐのは難しくないでしょう。
見出しで「難しくない」と言い切っているにも関わらず、本文で「難しくないでしょう」になっていたら矛盾しますよね。
矛盾した文章になっているケースは、Webライター歴が長い方でも時々見かけます。文末表現を変えることだけに集中しすぎて、矛盾に気づかないのかもしれません。
「10万円稼ぐのは難しくない。でも、すべての人が達成できるとは限らない」といったニュアンスを含めたいときは、結論に続く文章で調整しましょう。
OK例
H3:副業で月10万円稼ぐのは難しくない
Webライターの副業で、月10万円稼ぐのは難しくありません。ただし、Webライティングを積極的に学ぼうとしなければ、いつまでも稼げない状態が続くでしょう。
上記のように補足として追記することで、「すべての人が達成できるとは限らない」と伝えられます。
まずは見出しに矛盾しない結論を書く。断言できないときはそのあとに補足として追記。
このルールを徹底し、読者に疑問を感じさせない文章を心がけましょう。
4:体言止めを多用しない
体言止めは文章のリズムを良くし、文末の連続を回避する効果的な方法です。しかし、多用しすぎると文章のリズムが狂います。
本来の意味が伝わりにくくなる可能性もあるため、注意が必要です。
NG例
ブログは自分の好きなテーマで発信できるのがメリットです。私は資格に関するブログを運営。本業に近い収入を得ています。
上記の文章を読んで、言いたいことはわかるけど、何となくモヤっとした感覚になりませんか?
執筆者自身のリズムで体言止めを使っているパターンであり、編集時に結構多い修正です。つまり、執筆しているときのノリみたいな感じですね。
体言止めを使わずに、文章をつなげたほうが読みやすくなります。
OK例
ブログは自分の好きなテーマで発信できるのがメリットです。私は資格に関するブログを運営し、本業に近い収入を得ています。
場合によっては述語が省略され、読者側で推測しなければならないのも体言止めのデメリットです。
例
クレヨンしんちゃんは私が好きなアニメ。特に『オラの引越し物語』という映画がおすすめです。
「おすすめ」と伝えている時点で「きっとクレヨンしんちゃんが好きなんだろう」と予測できますが、今好きなのか、過去に好きだったのかは判断できません。
- 好きなアニメです
- 好きなアニメでした
どちらを用いるかによってかなり意味が変わってきますね。
もしくは、体言止めにするなら数詞を用いるのもありです。
OK例
クレヨンしんちゃんは、私が好きなアニメの一つ。特に『オラの引越し物語』という映画がおすすめです。
体言止めでリズムを変えるときは、違和感のある文章にならないように注意して使いましょう。
5:文章全体を見直して修正する
文末表現が連続した場合、文末だけを直そうとするのは非効率的です。見出し内の文章を入れ替えたり、言い回しを変えたりするほうが簡単に修正できます。
ガラッと入れ替えるのは勇気のいる決断ですが、文章の質が上がるので試してみましょう。
例えば「できます」を修正する場合、以下のような言葉に言い換えられます。
- 可能です
- できるのがメリットです
もしくは「できるから○○になる」と具体化すれば、使える文末表現がさらに増えます。
- できるため、作業効率が高まるでしょう
- できることで、収入アップにつながるかもしれません
「できます」「大切です」など、ありきたりな文章が続くときの言い換えとしても効果的です。ぜひ試してみてください。
6:「ください」は必要最低限にする
「ください」は人に指示する言葉です。記事の中で使いすぎると、命令されているような感覚で嫌な気持ちになる読者もいます。
本当に注意してほしいとき、絶対にやってほしいときなど、必要なタイミングを見極めて使いましょう。
「ください」の使用を禁止しているクライアントもいます。
例えば、間違った使い方をすれば故障する商品の場合、以下のような伝え方だとどう感じますか?
例
端末を操作するときは、必ず水気のない場所で行いましょう。防水性能は備わっていません。
よくある文章ですが、「必ず」に対して「行いましょう(提案の言葉)」だと、絶対にやってはいけない行為であることがうまく伝わりません。
伝えたいことはわかるけど、「あ、そうなんだ」と読み流す感じになる方が多いのではないでしょうか?
そういった場面で「ください」を用いると効果的です。
例
端末を操作するときは、必ず水気のない場所で行ってください。防水性能は備わっていません。
「必ず」が強調されて、読者の危機意識が高まります。そのあとに続く防水性能についても、より頭に入りやすくなるでしょう。
特にブログの場合は、Webライターとしての仕事よりも自由度がかなり高めです。無意識に「~してください」が多くなっているケースをよく見かけます。
「自分の意見を伝えたい」という気持ちが先行しすぎると、文章が疎かになりがちです。
一方的な感情が強くなっていないか、読者目線でチェックしながら記事を書きましょう。