冗長表現

冗長表現

冗長表現とは、記事の内容とは関係のない文章によって、まわりくどく、読みにくい文章になっている状態を指します。

以下の文章は、冗長表現が含まれている読みにくい文章の例です。

NG例

私は映画を観ることが好きで、今月は約20本くらいの映画をレンタルしました。そのなかでも、『ジュラシックパーク』という映画のことがとても気に入りました。

なお、来月はもっと映画を観ることができるので、続編をレンタルして借りてみたいと思います。

冗長表現のオンパレードになっているのですが、NGポイントをいくつ探せましたか?(回答はグレーの部分をクリックしてみてください)

例文のNGポイント
  • 一文に「映画」が2回出てくる
  • 「約20本くらい」→「約」と「くらい」の意味が重複している
  • 「~という」は不要(なくても伝わる)
  • 接続詞の「なお」は不要(なくても伝わる)
  • 「観ることができる」→「観られる」でOK
  • 「レンタルして借りてみたい」→「レンタル」と「借りてみたい」の意味が重複している
  • 「借りてみたい」→「借りたい」でOK

ちなみに私が修正する場合、以下がOK例になります。

OK例

私は映画観賞が好きで、今月は約20本の映画をレンタルしました。なかでも特に気に入ったのが『ジュラシックパーク』です。

来月はもっと時間があるので、続編を借りたいと思います。

ダラダラと感じた文章が、結構スッキリしましたね。NG例と書いてある内容は同じです。

冗長表現と呼ばれる文章には、はさまざまなパターンがあります。

1つずつ紹介するので、自分で気づけるように覚えておきましょう。

目次

代表的な冗長表現6パターン

代表的な冗長表現

Webライティングに関連する代表的な冗長表現をまとめました。

自分の文章を見返して、冗長表現に該当しないか確認してみてください。

1:簡潔にできる表現

Web上の文章は、読者に離脱されない工夫が大切です。冗長表現が多い文章だと、読みにくさを感じて離脱される恐れがあるため注意しましょう。

以下は、Webライター歴が長い方でもつい使いがちな冗長表現です。

  • ということです
  • することができます
  • してみましょう
  • してみたい
  • してしまう
  • ○したり、△したりします

文法的に間違いではありませんが、まわりくどい言い方をしなくても意味が伝わります。

例で紹介した冗長表現から、無駄な部分を省いてみましょう。

  • ということです→です
  • することができます→できます
  • してみましょう→しましょう
  • してみたい→したい
  • してしまう→する
  • ○したり、△したりします→○や△をします

簡潔に書いたほうが、スッキリして読みやすくなりますね。

「もっとシンプルにできないか」という視点で、自分で書いた記事を見直すことがポイントです。

なかでも特に私が気になるのは、無意味な「~たり」を使うケース。

並列する事柄を伝える場合、「~たり」を2回繰り返すのが原則です。

しかし、それ以前に「~たり」を使う必要があるのかを考えてみましょう。

NG例:人によってはうまく操作できなかったり、難しさで挫折してしまったりする可能性があります。

OK例:人によってはうまく操作できず、難しさで挫折する可能性があります。

OK例のように、そもそも「~たり」自体が不要なケースは多々あります。

また、冗長表現は文章の雰囲気がやわらかくなるため、あえて「多めに使ってほしい」というクライアントもいました。

基本的にはシンプルにすべき部分ですが、相手の意向に合わせて使いこなせるようにしましょう。

2:不要な接続詞

文章をつなぐ役割をもつ接続詞ですが、入れなくても意味が伝わるケースが多々あります。

特に以下は、編集時に削除することが多い接続詞です。

  • また
  • なお
  • そして
  • さらに
  • したがって
  • そのため
  • なぜなら

接続詞がなくても意味が伝わる場合は削除し、シンプルな文章を書くことを心がけましょう。

NG例:私はブログで月10万円稼げるようになりました。さらに、Webライターとしても仕事をしています。そのため、本業以外の収入があります。

OK例:私はブログで月10万円稼げるようになりました。Webライターとしても仕事をしているため、本業以外の収入があります。

ちょっとオーバーな例のように感じるかもしれませんが、Webライティングに慣れていない人は接続詞が多くなりがちです。特に文章が長くなってくると、同じ接続詞が連続することがあります。

接続詞が続くと読みにくさを感じるだけでなく、頭の中で情報を整理しにくくなるため注意が必要です。

特定の見出しだけ文章が長くなる場合は、見出しを分けるなどの対策も検討する必要があるでしょう。

また、PREP法に当てはめて文章を書く際に、「理由」の部分でほぼ毎回「なぜなら」と書く方がいます。

何度も「なぜなら」が出てくると文章がしつこくなるため、おすすめしません。入れなくても伝わるので、意識してみましょう。

NG例:子育て中の主婦にWebライターがおすすめです。なぜなら、スキマ時間を活用して自分のペースで仕事を進められるからです。

OK例:子育て中の主婦にWebライターがおすすめです。スキマ時間を活用して、自分のペースで仕事を進められます。

NG例:Webライティングのスキルは、本業でも役立ちます。なぜなら、文章をわかりやすく組み立てられるようになるからです。メールや資料作りなどでスキルを活かせます。

OK例:Webライティングは、本業でも役立つスキルです。文章をわかりやすく組み立てられるようになるため、メールや資料作りなどで活かせます。

あくまでもPREP法は基本的な考え方であり、理由を述べるからといって「なぜなら」を使わなければいけないわけではありません。

1番大切なのは、読者が違和感なく文章を読み進められること。私は特に強調したいときだけに使うようにしています。

3:重複表現

重複表現とは、同じ意味の言葉を続けて使うことです。「二重表現」「重ね言葉」「重言(じゅうげん)」とも呼ばれています。

無意識に使ってしまうことがとても多いため、重複表現の例を確認しておきましょう。

OKNG
約○%
○%ほど
○%くらい
約○%ほど
約○%くらい
最初
まず
一番最初
まず最初
各項目
項目ごと
各項目ごと
必要必ず必要
1番
ベスト
1番ベスト
デビュー初デビュー
後悔するあとで後悔する
捺印する捺印を押す
内定する内定が決まる
返事をする返事を返す
違和感がある違和感を感じる
頭が痛い
頭痛がする
頭痛が痛い
手を骨折する手の骨を骨折する
レンタルする
借りる
レンタルで借りる

例えば「捺印」には、「印を押す」という意味が含まれています。「捺印を押す」と書いてしまうと、「押す」が重複してしまうのです。

なかには、日常的に使われている重複表現も多く、判断に悩むこともあるでしょう。

私自身も無意識に重複表現を使っていることが多々あります。Webライティングに慣れていない方は、意識して注意することが大切です。

明らかな重複表現に注意し、「重複してるかもしれない」と感じたら、ほかの言葉に言い換える練習をしましょう。

4:二重否定

二重否定とは、否定の言葉を2回重ねた文章のことです。否定をさらに否定するため、結局は肯定する文章になります。

  • できないわけではない
  • 無理なわけではない
  • 嫌いではない
  • 反対ではない

話し言葉でよく使われますね。

しかし、Web上の文章では読者が混乱する可能性があるため注意が必要です。

最初から肯定で書くほうが、理解しやすくなります。

  • できないわけではない→できる
  • 無理ではない→可能
  • 嫌いではない→好き
  • 反対ではない→賛成

ただし、あえて二重否定を使うケースもあるので覚えておきましょう。

肯定する文章を強めたいときや、明確に肯定できない状態を表現したいときなどです。

  • 食べずにはいられない(肯定の強調)
  • 美味しくないともいえない(断言できない状態)
  • やらないとは限らない(断言できない状態)

例えば「食べずにはいられない」という言葉には、「美味しくてつい食べてしまう」「ぜひ食べてほしい」といったニュアンスが含まれています。

料理を紹介するグルメ記事に書かれていたら、読者は「そんなに美味しいなら食べてみたい」という気持ちになるでしょう。

Webライティングで二重否定は避けるべき言葉ですが、使い方によってはプラスに働きます。

「読者が理解しやすいか」という視点を大切にして、まわりくどい伝え方になっているときは注意しましょう。

5:同じ単語の連続

一文の中に同じ単語が出てくるケースも、冗長表現に該当します。編集時に多い修正なので、見直してみましょう。

NG例:私の好きな漫画は『ONE PIECE』という漫画です。

OK例:私の好きな漫画は『ONE PIECE』です。

NG例:対応できない場合は、さらにお金がかかる場合もあります。

OK例:対応できない場合は、さらにお金がかかること(可能性)もあります。

2つ以上のものを並列するときに、連続を回避できないこともあります。しかし、ほとんどの場合は回避できるため、そのままにしてはいけません。

同じ言葉が連続している場合は、以下の対策をしてみましょう。

  • どちらか一方を削る
  • 別の言葉に置き換える
  • 文章を分ける

編集時にはどちらか一方を削って対応することが多いですが、あえて文章を分けて強調を目立たせるケースもあります。

6:意味のない前置き

Web上の文章は、結論をわかりやすく伝えることが大切です。前置きが長いと、結論にたどり着く前に読むのをやめてしまいます

Webライティングでは、PREP法を意識した執筆を心がけましょう。

例えば、保育士の勉強におすすめの本を紹介する記事で、以下のように前置きが長かったらどうでしょうか?

NG例

保育士の資格を取得するためには、各科目で合格点に達する必要があります。

勉強するための本の種類も多く、どれを選べばいいのか悩んでしまいますよね。せっかくなら、一発合格を目指せる人気の本で勉強したいと思っているのではないでしょうか?

これから勉強したい人におすすめする本は『ユーキャンの保育士速習テキスト』です。

読者は「早くおすすめの本を知りたい」と思って記事を探しています。なかなか本の名前が出てこなかったらモヤモヤしますよね。

おそらく、肝心な本のタイトルにたどり着く前に離脱し、ほかの記事を探し直すでしょう。

そうならないためにも、Webライティングでは、PREP法を用いて結論から伝えることが大切です。

OK例

(結論)保育士の勉強におすすめの本は『ユーキャンの保育士速習テキスト』です。

(理由)図解や表を用いてわかりやすく解説されているため、これから勉強を始める人でも理解しやすくなっています。

(具体例)実際に私自身も、ユーキャンの本を使って合格できました。

(結論)過去問や要点をまとめたテキストもあるため、あわせて購入することをおすすめします。

おすすめの本を伝えて、その理由を述べる。この流れで執筆できると、読者への説得力が高まります

ただし、感情に訴えかけたいときに、あえて前置きを入れるのはありです。特に一次情報をたくさん伝えられるブロガーは、組み合わせて使うとよいでしょう。

冗長表現だからすべてNGというわけではありません。

冗長表現には、文章をやわらかくする効果があります。削りすぎると単調で冷たい印象を与えることもあるため、読者の立場になって「どう感じるか」をイメージしましょう。

目次