「てにをは」は、助詞や助動詞、接尾語などの総称です。近年では、特に助詞の使い方を指して使われています。
Webライターの修正時に「てにをはが合わない」といった指摘をされた場合は、助詞を見直してみましょう。
「てにをは」の正しい使い方
「てにをは」の正しい使い方を、例文を用いて解説します。
間違えやすいものをピックアップしているため、ここで紹介する例がすべてではありません。
1:主語を示す「が」「は」
主語のあとに続く助詞である、「が」と「は」の使い分けです。
まずは以下の例文をご覧ください。
例
- 先生がアイスクリームを食べている。
- 先生はアイスクリームが食べている。
「が」を用いると主語が強調され、伝えたい事実をはっきりと表現できます。そのあとに続く動作まで、頭に入りやすくなるのが特徴です。
- 私がすべて執筆した。
- 彼女が料理を作ってくれた。
対して「は」は、主語を強調せず、客観的な印象を与えます。
少しぼんやりとした表現になるため、読者は読み流す感じになり、伝えたい内容が上手く伝わらないこともあるでしょう。
- 私はすべて執筆した。
- 彼女は料理を作ってくれた。
また、「が」と「は」の使い分けを間違えると、違和感のある文章になるため注意が必要です。
NG例:私は出掛けたあとに、彼が家に来た。
OK例:私が出掛けたあとに、彼が家に来た。
NG例:妹が疲れていたのか、すぐに眠ってしまった。
OK例:妹は疲れていたのか、すぐに眠ってしまった。
違和感があるというよりも、文章を読んだら「えっ?どういう意味?」と感じそうですね。
ほかにも、「が」と「は」が違うだけで、文章の意味が大きく変わるケースもあります。
例①:僕が5km走ったあとに、大好きなコーラを飲んだ
例②:僕は5km走ったあとに、大好きなコーラを飲んだ。
例①は、コーラを飲んだのが誰なのかが明確ではありません。「僕」ではない、ほかの誰かの話だと受け取れます。
もし「僕」が自分自身の話をしたいのであれば、例②の文章が適切です。
NG例:僕が5km走ったあとに、大好きなコーラを飲んだ
OK例:僕は5km走ったあとに、大好きなコーラを飲んだ。
「が」と「は」の使い分けが正しくできず、何を伝えたいのかがよくわからなくなっているケースは多々あります。
読者が誤った解釈をする可能性もあるため、使い分けには十分注意しましょう。
2:目的を示す「が」「を」
願望や意思を示すときに用いる、「が」と「を」の使い分けです。
例
- 私はアイスクリームが食べたい。
- 私はアイスクリームを食べたいと思う。
「食べたい」のように、自分の意思を強調する場合は「が」を選ぶのが一般的とされています。
「食べたいと思う」のように、動詞が続く場合は「を」を選びましょう。
もしも「私はアイスクリームを食べたい」と書かれていた場合でも、伝えたいことはわかります。
しかし、目的が明確な場合は「が」を用いたほうが自分の意思をストレートに伝えられるため、相手に伝わりやすくなるのです。
3:場所を示す「で」「に」
場所を示すときに用いる、「で」と「に」の使い分けです。使い分けが難しく、間違えやすいので注意しましょう。
使い分けに悩んだら、以下の基準で判断するとよいとされています。
「で」…人の意思による行動といった、動作を強く表現したい場合
「に」…物や場所などの状態(情報)を強く表現したい場合
「で」を用いて、動作を強調する例文を見てみましょう。
- カフェで仕事をする。
- 水族館でイルカを見る。
「に」を用いて、物や場所の状態(情報)を強調する例文は以下です。
- 北海道にお気に入りのお店がある。
- 机の上に私のパソコンがある。
基本的なルールはあるものの、Web上の文章では前後のつながりで判断されているようにも感じます。
「てにをはが合わない」と指摘される場合は、明らかに間違えて使われているケースです。
NG例
- カフェに仕事をする。
- 北海道でお気に入りのお店がある。
文章に違和感がありませんか?
「北海道でお気に入りのお店がある」は会話で使われがちなことから、同様の修正が結構あります。
特にWebライティングに慣れていない方は、自分が普段使っている言葉をそのまま書かないように注意しましょう。
伝え方を間違えると、当然ですが受け取り方も変わってきます。
事実とは異なる情報を伝えることになるため、細かいニュアンスまで配慮する姿勢が大切です。
4:行き先を示す「に」「へ」「まで」
行き先を示すときに用いる、「に」「へ」「まで」の使い分けです。
使い分けに悩んだら、以下の基準で判断しましょう。
「に」…目的地を明確に伝えるとき
「へ」…目的の方向を伝えるとき
「まで」…目的地までの移動過程を伝えるとき
使い分けの基準をもとに作成した、3つの例文をご覧ください。
例
電車に乗って東京に行く。(目的地)
電車に乗って東京へ行く。(目的の方向)
電車に乗って東京まで行く。(目的地までの移動過程)
目的地を強調したい場合は「に」が適しています。
あまり目的地を強調せず、「これから行く」といったニュアンスを含めたいときは「へ」がよいでしょう。
「電車に乗る」という行動を強調したい場合は、「まで」を使うのが適切です。
悩んだときの判断基準として覚えておきましょう。Webライティングに慣れれば、自然と判断できるようになります。
5:「てにをは」が抜けているケース
執筆者によって、「てにをは」の抜けが目立つケースがあります。癖になっていると気づきにくい部分です。
NG例:初心者の頃は、修正があるたび気分が落ちるでしょう。しかし、乗り越えれば収入増加が見込めます。
OK例:初心者の頃は、修正があるたびに気分が落ちるでしょう。しかし、乗り越えれば収入の増加が見込めます。
正直、抜けていても意味は伝わります。
口語が多い自分のブログなら、意味さえ伝われば問題ありません。多少の抜けは気にならないでしょう。
しかし、Webライターとして納品する場合は、企業のイメージにつながることを忘れてはいけません。厳しいメディアは、チェックもかなり慎重です。
「てにをは」の抜けが目立つ人は、普段使っている言葉に違和感をもたないまま執筆している傾向があります。自分のリズムで一気に書き上げるタイプも多く、スピードを重視する人ほど抜けがちです。
とても多い修正ポイントなので、正しい文章の書き方を意識してみましょう。
メディアによっては修正されずにOKとなるケースもありますが、間違えたまま執筆し続けるのはおすすめしません。
「てにをは」の正しく使えるようになるための方法
「てにをは」を正しく使えるようになるために、おすすめの方法を紹介します。
1:声に出して読んでみる
文章の違和感は、声に出して読むことで気づきやすくなります。ただ音読するのではなく、メディアを運営する企業や担当者になりきって読むのがおすすめです。
目の前の人に説明するイメージで、感情を込めてみましょう。
「説明している」という感覚で読むと、「てにをは」だけでなく、文章のつながりが不自然な部分にも気づけます。
納期に余裕がある場合は、執筆した翌日以降に読むのがおすすめです。時間をおくことで頭がスッキリし、違和感に気づきやすくなります。
2:第三者に読んでもらう
家族や友人など、第三者に読んでもらうことで気づく部分が多々あります。
思い込みで文章を書いている場合は、第三者からの指摘で間違いに気づけるでしょう。
特に編集などの手が加わらないブログでは、第三者の力を借り、客観的な意見をもらうことが大切です。
さらに、プラスαで以下のようなメリットがあります。
- 「てにをは」以外の違和感に気づける
- 自分の文章の癖に気づける
- 読者目線で理解しにくい部分がわかる
- 読み終えたときの感情がわかる
3:良質な文章を読んで学ぶ
Webサイトや書籍など、さまざまな文章を読んで文章力を鍛えましょう。
特におすすめなのは、日本語に関する書籍です。ビジネス系の書籍や小説などでもいいので、普段使っている口語との違いを理解しましょう。
私が今まで読んだなかで、良かった本をいくつか紹介します。
Webライティングの学習にも最適なので、ぜひチェックしてみてください!